Review
– 話題の国産密閉型モニターヘッドホン – Layfic Tone/The Industrial-ist WIRED を聴いてみた!! Reviewed by Staff ON
宮地楽器RPMのOです。
今回は先日発売されて話題となった国産密閉型モニターヘッドホン「Layfic Tone/The Industrial-ist WIRED」をレビューします。
「Layfic Tone/The industrial-ist Wired」とは
Layfic Tone は USE Inc. による Nu Skool Audio Brand です。高音質で高品質なプロダクト、ユーザーフレンドリーな使い心地、 おしゃれで尖ったデザインが特徴で、プロユースからモバイルユースにわたり、少数精鋭で先進性と遊び心のあるオーディオ製品を生み出す国内ブランドです。
The industrial-ist Wired は、そんな Layfic Tone より先日発売されたクリエイターの為のフラッグシップ・密閉型モニターヘッドホンです。高解像度、高繊細、正確な定位と現代的な低音を内包したフラットな音質を実現しています。 スタジオワーク・クリエイター・DJ・動画編集・PAなど、プロに求められる品質がとことん追求された商品となっています。
国内はもちろんのこと、海外のクリエイターやアーティストからも注目されており、導入事例も着実に増えてきています。
セパルトゥラ、カヴァレラ・コンスピラシーでお馴染みのイゴールカバレラ氏がUKでのレコーディングで本機を導入!!
実際に触ってみた!!
宮地楽器店頭にも展示している本機を実際に使用してみました。
◎快適な装着感と密閉感
初めてThe industrial-ist Wired を装着した際、つけ心地の良さに驚きました。
重量は385gとのことでヘッドフォンとしては標準的な重量ではありますが、フレームやヘッドバンド、イヤーパッドの作りが秀逸で上手く重さが分散されるため、つけ心地が非常に軽やかになっています。
耳を完全に覆うオーバーイヤータイプのヘッドホンですが、独自の構造が側圧に頼らないホールドを実現しており、長時間使用しても疲れを感じにくい点も非常に魅力的です。つけ心地の軽いヘッドフォンは使用中にズレてパッドの密閉感が弱まり、聴こえ方が変わってしまう場合がありますが、The industrial-ist Wired は軽やかな装着感に反して非常にズレにくく、高い密閉感を長時間維持できます。
製品開発部の藤原さんにお話を伺ったところ、「The industrial-ist Wired はサイドのカーボン棒の長さ設定が少々アンバランスでも、頭に合ってしまう」とのこと。実際に少し雑に粗着してみても、ヘッドバンドやヒンジが上手く機能してしっかりとした装着感を得られました。この「ヘッドフォンが頭に合わせる」構造は音楽制作だけでなく、録音やライブ、DJといった現場でも実用性を発揮しそうですね!
おすすめの装着方法
サイドのカーボン棒を伸ばしきった状態でパッドを良い感じに耳に当てます。次に、パッドフレームを親指で抑えたままヘッドバンド横のヒンジ部分を指で押し下げていき、頭に少し重さが乗るあたりで止めます。ヘッドフォン全体が頭にピッタリと合い、程よい重さと密閉感を感じられるはずです。
◎クリアな出音と現代的な低音感
音質に関しては、モニターヘッドフォンとして最適なフラットで高解像度な出音でありつつも、他のヘッドフォンにはなかなか無いキャラクターを持っています。密閉型構造によるどっしりした低音感がありつつ、広いハウジングと正確な再生能力により非常に豊かな空間表現も持ち合わせているのです。本機が「密閉型なのに開放型と見紛うサウンド」と評されている通り、密閉型サウンドを軸としつつも開放型サウンドを彷彿とさせる広がりや聴きやすさを持っています。
また音のレスポンスも早く、広い空間再生能力と相まって、ディレイやリバーブ等の空間エフェクトのDry/Wet音の聴き分け等も簡単に出来てしまいます。
The industrial-ist Wired の個性である「現代的なローエンドと豊かな空間表現」はラージモニタースピーカーで聴くようなニュアンスを持っているため、スピーカーを鳴らせない環境でのミキシング、マスタリングはもちろん、クラブでの再生を念頭に置いたダンス・ミュージック制作にも適していると思います。
開発者様からのコメント
今回、記事を制作するにあたり The industrial-ist Wired の設計開発者である USE Inc. 藤原さんにコメントをいただきました!
◎The industrial-ist Wired の制作にかけた思い
私の USE Inc. への入社には、以前からユーザーとして同社が関わった製品に多く触れていたというきっかけがあります。
音を作るエンジニアやクリエイターとして、1リスナーとして多角的に製品に対して日々目を向けています。
今回の The industrial-ist Wired は、この様な経験を活かしながら「オーディオとはこうあるべき」という先入観にとらわれる事なく、モニター環境における最良を求めて様々なアイデアを落とし込んだ製品になっています。
音を扱う業種の方で長いこと機材の選択に悩んでいたり、既存製品には無い刺激的な要素を求めている方には本製品を特にお勧めできます。NAMMでの出展を通して感じたのは、Jazz、Funk、Metalcore、Techno、Bass musicといった、正確なタイム感やトランジェントの把握が必要なジャンルに携わるエンジニアやプレーヤーに評判が良いという点で、実際に低音の出方やレスポンスの速さを気に入っていただけています。
また、収録での部屋鳴りや立体音響など空間表現の再現力に注力しており、PAやライブレコーディングのミックス、IRデータ作成、音響補正システムなどとも相性が良いとのフィードバッグをいただいています。
The industrial-ist Wired を開発するにあたって工場、外注先といった様々な面で「きちんとした良い製品を作り上げたい」という熱い思いのある方々に関わっていただけたことに感謝しています。そういう熱いメンバーたちの想いが、きっと本製品の出音にも現れているはずです。
現在は The industrial-ist Wired をコンシューマー向けにデチューンした、Bluetoothと有線兼用のTWSスタイルのワイヤレスヘッドホン「Broadband」の開発に取り組んでいます。
The industrial-ist Wired の引き締まった音色は活かしつつ、リスニング向けによりリラックスして聴けるように調整したいと考えています。アプリからのEQコントロールは勿論、ノイズキャンセラーは音質を優先するため搭載させないですが、LDACや高性能DACやパーツを使いハイレゾにも対応させる予定です。
また、5月末にエンドースメントアーティスト YOYOKA さんとの契約があり、よりレコーディング環境に振り切ったミドルクラス機種のアーティストモデルも企画しています。さらに、USやEU圏で懇意にやり取りしているDJ達からのリクエストがあり、ミックスにも使える音質を備えるDJ用ヘッドフォンのスケッチや機構の考案も始めています。
今後も展示会や国内外の協力的なテストプレーヤー達からのフィードバックを活かした質実剛健で的を得た製品を開発リリースしていきたいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。Layfic Tone/The Industrial-ist WIRED はラージスピーカーを彷彿とさせるパワフルなサウンドで、豊かなロー感と空間表現を持ちつつも、音や装着感は心地良く、長時間使用しても疲れにくい設計になっています。個人的にはモニターとしてだけでなく、リスニング用としても楽しめる商品だと感じました。密閉型や開放型、モニター用やリスニング用といった、ヘッドフォンにおける様々な良い部分を絶妙に組み合わせた本機は、あらゆるニーズに対応できるオールラウンダーなヘッドフォンです。
是非、宮地楽器RPMにて本機を視聴してその素晴らしさを体験して下さい。
※初回分限定でメーカー純正のイヤーパッドだけでなく、DEKONI AUDIOのレザーパッド、ベロアイヤーパッドの2種類が付属いたします。パッドによるサウンドチューニングの効果をぜひ体感してみてください。
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●Layfic Tone/The industrial-ist Wired
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