話題の製品を試してみた! 「IK Multimedia/MODO DRUM」!
RPMレコーディングスタッフが、実際にしっかりと使ってみて話題の製品の実力を実体験レビューする本シリーズ!今回はIK Multimedia社のフィジカルモデリング音源「MODO」シリーズ待望の第2弾、「IK Multimedai/MODO DRUM」です!
前作の「MODO BASS」が登場したのが2016年。すでにベース音源として定番となっていますが、ドラム音源の実力はいかほどでしょうか。今回の記事では以下の点に注目して記事を書いていきたいと思います。

  • 基本的な機能のご紹介
  • フィジカルモデリング音源だが、従来のサンプルベースの音源に比べて「生感」はどうなのか?
  • フィジカルモデリング音源ならではの、音の作り込みはどこまで出来るのか?
  • DAWでの編集のしやすさはどうなのか?

基本的な機能のご紹介

MODO DRUMを立ち上げると以下のような画面となります。前作のMODO BASS同様、機能がわかりやすくタブで分けられているので、初見でもやりたいと思ったことを直感的に操作できるようになっています。それぞれのタブの機能を書いておきます。

 

■MODEL:MODO DRUMでは10種類のドラムキットがモデリングされており、ロック、ポップス、ジャズ、メタルなど幅広いジャンルに対応することが可能です。見た目も実物に似せられているので、ドラムに詳しい人は「お、あのメーカーのキットかな?」と思わずテンションがあがってしまうでしょう。キットの試聴はすぐ下の再生ボタンで行えるので便利でした。まずはこの10種類のキットの特徴をつかんでからエディットを始めると良さそうですね。

■CUSTOMISE:ドラムキットを選択したのちに、「スネアだけ別のモデルに差し替えたい」「このタムのチューニングを少し高くしたい」といったことができます。キック、スネア、タムはかなり細かくエディットできるようになっておりますので、後ほど詳しくお伝えいたします!

 

■PLAY STYLE:キックペダルの踏み方、ビーターの素材、スネアスティックの素材、打面の位置などを調整できます。左手と右手でそれぞれ個別に設定できる箇所もあります。他のドラム音源には無い、かなり画期的な要素です。こちらも実際に触ってみますとかなり面白いので、後ほど詳しくお伝えいたします!

 

■ROOM:ルームシミュレーションの切り替えとルームのフェーダーを調整できます。スタジオライクのドライなものから、ホールや教会などの深いシミュレートまで豊富に選べます。質感はどれもリッチで、この部分だけでもお金を出す価値があると感じました。

 

■MIXIER:各パーツの音量、パンの調整に加えて、EQやコンプ、サチュレーション、リバーブなどのエフェクトを追加することができます。BUSの設定などもあり、DAWソフト並みの高機能なミキサーです。

 

GROOVES:MIDIパターンを絞り込み検索によってセレクトできます。パターンは豊富に用意されており、気に入ったMIDIパターンが見つかったときにはドラッグアンドドロップでDAWに取り込むことができます。

 

フィジカルモデリング音源だが、従来のサンプルベースの音源に比べて「生感」はどうなのか?
MODO DRUMはドラム音源の中では珍しいフィジカルモデリングという方式を採用しています。フィジカルモデリングとは簡単に言ってしまえば「シンセ」です。ソフトが音を合成して発音する方式ですね。対義語として「サンプリング」という方式があり、こちらは実際に生録音したデータをソフトが発音する方式です。
現在、クオリティーが高いとされるドラム音源の多くがサンプリング方式です。これによって「ドラム音源はやっぱサンプリングでしょ!」という風潮があります。この記事を読まれている方の多くも、「MODO DRUMはフィジカルモデリングだからちょっとな〜」と思っているのではないでしょうか。
しかしながら、さすがのIK Multimedia、実際に試してみると予想を超えるクオリティーでした。百聞は一見にしかず!ということでぜひ以下の音源を聞いてみてください。

いかがでしたでしょうか。実はこの音源、初めから用意されているプリセットとMIDIパターンを合わせただけで、DAW側では何のエディットもしていません。素晴らしい音質ではないですか?正直筆者はこの時点でもう、モデンリングとかサンプリングとかはどうでもよくなりました笑。
※ちなみにMODO DRUMは皮モノ(キック、スネア、タム)のみフィジカルモデリングを採用しており、金モノ(シンバル、ハイハットなど)はサンプリングとのこと。金モノはまだ技術的にフィジカルモデリングで良い音にするのが難しいそうです。

音の作り込みはどこまで出来るのか?
さて、音質に納得できたところでMODO DRUMの面白いところはここからです!フィジカルモデリングなので「そんなところまでエディットできるのか!」と驚いてしまうほど、自分好みのドラムキットを作成することができます!

■キットを作り込む!

基本的な機能のご紹介、CUSTOMISEの項目について言及していきましょう。CUSTOMISEのタブを開き、右上のEDIT ELEMENTをクリックするとこのような画面が現れます。

 

まずはキックドラムですが、なんとシェルやヘッドなどについて、材質、張り具合(チューニング)、口径などをエディットすることができます。DAMP、DEPTH、DIAMETER、について少しずつパラメータを変化させた音源をご用意しましたので、ぜひご試聴ください。(8音ごとにパラメータが変化します。)

続いてスネアですが、シェルやヘッド、スナッピーについてエディットすることができます。こちらはDAMP、DEPTH、DIAMETER、TENSION、TUNINGについて少しずつパラメータを変化させた音源をご用意しましたので、ぜひご試聴ください。(4音または8音ごとにパラメータが変化します。)

いかがでしたでしょうか。大きく音が変わるパラメータ、細かく音が変わるパラメータ、様々ございますが、生ドラムを触ったことがある人ならば思わず唸ってしまうようなエディット画面かと思います。ちなみ今回音源はご用意できませんでしたが、タムもスネアのようにエディットをすることができます。またマイク収録をしたときに発生するいわゆる「カブリ」の具合を調整するようなパラメータもあり、本当に生ドラムを触っているような感覚でした!

■演奏スタイルを作り込む!
基本的な機能のご紹介、PLAYSTYLEの項目について言及していきましょう。
まずはキックですが、ペダルの踏み方(ヒールアップとヒールダウン)とビーターの材質を変更することができます。音源をご用意しましたので、ぜひご試聴ください。(8音ごとにパラメータが変化します。)

次にスネアですが、スネアはかなり面白いですよ!(音源はご用意できませんでしたが、タムもスネアと同様のエディットができます)

 

ドラムの打ち込みにおいて、最も打ち込み臭くなるときはいつでしょうか?個人的には「連打」するときが最も打ち込み臭くなると思っています。
なんとMODO DRUMでは左手で叩くのと、右手で叩くのに別々のMIDIノートが割り当てられています。ですからPLAY STYLEで「左手は中心に、右手はやや中心から右よりに打面の位置を変えておく」といった設定にしておくことで、連打したとしても、ドラマーが両手で演奏しているかのように聞かせることができます。
またかなり玄人的な打ち込みになりますが、CCを割り当てることでスネア/タムは打面の位置ずれを、ハイハットでは開き具合を無段階的に調整することができます。ハイハットの開き具合については他社のドラム音源でも採用されていることがありましたが、スネア/タムの打面の位置ずれはかなり斬新でしたね。なかなかここまでの打ち込みをするのは大変かもしれませんが、生のサウンドを追求するときには心強い機能だと思います!
音源をご用意しましたので、ぜひご試聴ください。(スネアは4音または8音ごとにパラメータが変化します。ハイハットはなめらかに変化します。)

DAWでの編集のしやすさはどうなのか?
さて、音質について説明を終えたところで、簡単にソフトとしての使いやすさ(DAW上でのエディットでかゆいところに手が届くか)についても言及しておこうかと思います。

■パラアウト
→MODO DRUMでもしっかりできます。MIXERタブで各パーツのアウトをDAW3-4などにアサインするだけなので簡単ですね。ちなみにMODO DRUMのミキサー内でBUSにまとめる機能もあるので、「タムはいったんBUSにまとめた後でDAWにアウトしてトラック数を減らす」といったこともできます。

 

■エフェクト処理
→DAW側で行っても問題ありませんが、MODO DRUMの中にもしっかりとしたEQやコンプなどが搭載されています。中にはIK Multimediaのエフェクト群「T-Racks」ゆずりの高品位なエフェクトもあるので、サードパーティーのエフェクトをお持ちでない方もしっかりと音を作り込むことができますよ!

 

■MIDIマッピング
→MAPPINGのタブでエディット可能です。発音するMIDIノートを変えたいときは「Lのマーク(MIDI LEARN)」を押してからMIDIキーボードの好きな場所を叩けばアサイン完了です。とても簡単ですね。またCCの番号も手打ちですぐに変更できます。自分で作成したマッピングはプリセットとして保存しておくことも可能です。

■ベロシティカーブ
→キック、スネアなど個々のパーツごとにベロシティカーブを設定可能です。ベロシティ値をモニターするウィンドウもありますので、非常に調整が楽でした。

 

 

最後に一曲!
ではレビューの最後に、MODO DRUMとMODO BASSを組み合わせた短い曲を作りましたので、ぜひご試聴ください。(ピアノ音源はKontaktのGranduerです。)

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