Review
ステレオコンプレッサー全部試してみた!
ステレオコンプレッサー全部試してみた!
数多くあるステレオコンプレッサーたちの試聴音源をご用意しました。
比較的手軽なVCAバスコンプからマスタリングで使用される高級機種まで一気に比較してみましょう!
実際に聴いてみよう!
使用機材:
AVID/Pro Tools Ultimate
AVID:HD I/O
設定はそれぞれの機種でベストと判断したポジションです。基本的にアタック遅め、リリース最速設定となっております。
ゲインリダクションは2db-4db程度になっております。
ロック系ドラムとハウス系ドラムの2音源をサンプルに使用しております。
★実機
- TK Audio/BC1-THD
- Heritage Audio/Succsessor
- Wes Audio/_Dione (THDモードオンオフ)
- Shinyas Studio/4000Buscomp (トランスオンオフ)
- API/2500
- Vintech Audio/609CA(Compモード、Limitモード)
- Retro Instruments/Revolver
- Manley/ ELOP+
- Manley/Variable Mu Compressor(Compモード、Limitモード)
- Chandler/TG1(Compモード、Limitモード、THDモード)
- Shadowhills/Mastering Compressor
- Vertigo Sound/VSC-3(Peakモード、RMSモード)
- SPL/IRON(Tube Bias Mid、High)
それぞれの違いを比較!
■TK Audio/BC1-THD
前モデルのBC1-Sと比べてTHDモードが搭載され、より激しいサウンドへの色付けも可能になりました。SCHPF搭載やDry/Wetモードの搭載である種プラグインのような柔軟性も持ち合わせています。音質は本家SSLのVCAコンプに匹敵すると言っても過言ではないでしょう。ジャンル問わず使える音質や機能を備えていますので初めてのバスコンプに大変おすすめです!
■Heritage Audio/Succsessor
Neveの復刻レプリカモデルを得意としているメーカーから発売された、ダイオードブリッジタイプのコンプです。
音はNeve系とSSLの中間で、どちらかと言えばNeve寄りでしょうか。カーンヒルトランスを搭載し、粘りある中低域の質感が得られます。
どちらかといえばロック向きな機種だと感じました。
■Wes Audio/_Dione (THDモードオンオフ)
こちらはプラグインコントロールが可能な機種です。バスコンプといえばの代表SSLのVCAコンプをベースにしています。
回路はフルアナログながら、一瞬でリコールやA/B切り替えができたりと大変便利で驚きます。出音にも妥協なく、打ち込みものとの相性は抜群ですね。タイトで乗れるキック作りに最適だと思います!
■Shinyas Studio/4000Buscomp (トランスオンオフ)
Shinyas Studioは国産のハンドメイドメーカーで、優れた機能と音質を実現しながらもお求め安い価格になっています。
この機種の特徴はインプットアウトプットそれぞれのトランスのオンオフを切り替えられるオプションがついています。
2mixの重心をトランスの組み合わせでコントロールできるため、幅も広がります。
音は天井が高く透き通ったクリアさも感じられます。トランスオプションなしでも十分オールジャンルに対応でき、初めてのアウトボードを検討している方にも強くおすすめできますね!
■API/2500
WavesやUADのプラグインで有名な本機種です。使い勝手もさることながら、API特有のアメリカンでパンチの効いたサウンドは一聴の価値アリだと思います。激しめのサウンドとの相性は抜群です。New/Oldでリダクション方式をVCA/FETの切り替えが出来、4つ打ちにはNew、ロックにはOldがよくマッチします。
■Vintech Audio/609CA(Compモード、Limitモード)
今回比較したなかで一番タイトな質感を得られたのはこの609CAではないでしょうか。Neve33609のレプリカの本機種ですが、オリジナルにはないアタックタイムのコントロールが可能となっています。2mixはもちろんドラムのOHやピアノのレコーディングでも活躍すること間違いなしですね。
■Retro Instruments/Revolver
RevolverはAltecをベースに設計されたコンプです。通すとチューブ独特の温かみと分厚さが付加され、耳馴染みのよいサウンドに変化しますね。
今回の素材では相性が良いとは言いづらいでしが、ジャズなどの比較的落ち着いたジャンルの2mixに通すと良い質感が得られると感じられました。
■Manley/ ELOP+
こちらは比較的珍しいオプトタイプのステレオコンプレッサーです。使い方はノブはGAINとReductionしかなく、操作感は非常にシンプルです。オプトなのでLA-2Aのようなゆるいかかり方をすると思いきや、VCAのようなパンチ感のあるサウンドになりました。もちろんManley独特の粘り感や高域の落ち着きも感じますので、非常にお手軽にManleyサウンドが手に入れられるなと感じました。
■Manley/Variable Mu Limiter Compressor(Compモード、Limitモード)
改めて説明するまでもなく、憧れの機材として名高い、いわゆる「バリミュー」です。世界的なエンジニアのスタジオ写真でよく見かけますね。
独特のなめらかさと、粘りある質感は唯一無二でしょう。通しただけで一気に高級感が出る名機です。
■Chandler Limited/TG1(Compモード、Limitモード、THDモード)
見た目から溢れるロック感もさることながら、サウンドは想像を超えてくるロック感がありました。Compモードではよりパンチーかつタイトに、リミッターモードではルーム感を強調する激しくも気持ちいい歪感が得られました。リダクションさせず、ハーモニックディストーションだけを加えるTHDモードがついているのも実にロック向きですね!
■Shadowhills/Mastering Compressor
ブラグインでも評判の高い本機種です。風格も音もステレオコンプの王様と言っても過言ではないでしょう。
筆者が一番好きなアウトボードです。コンプはオプトとVCAの2段建てで、それぞれうっすらリダクションさせるだけでも、音圧がグッと増します。1番のポイントはアウトプットのトランスが切り替えられるところです。かなり質感が変化しますが、トランスを一番下にしたときのキックの音色はたまりません!最高です。
■Vertigo Sound/VSC-3(Peakモード、RMSモード)
こちらもプラグインでは有名ですよね。とにかく天井が高く、余裕のある音がしました。コンプされた時の歪感はほどんど感じられず透明感がありますね。リダクションの検出をPeakにするかRMSにするか選べます。Peak検出で出っ張りを潰すも良し、RMSで押し出し感を出すのも良しといった感じで、設定次第でどんなジャンルにも対応しうる万能さを感じました。
■SPL/IRON(Tube Bias Mid、High)
見た目のインパクトはShadow Hillsにならんで圧倒的です。通すと、曲全体の印象は大きく変えずに厚みが増す感覚には感動モノです。これを使うマスタリングエンジニアの方を羨ましく思うほど、説得力のある音ですね。
設定がいろいろ変えられるため、どれにしようか迷います。個人的にはTube BiasがMIdの設定にグッときました。
まとめ
それぞれ比較してみましたが、いかがだったでしょうか。個人的にはVSC-3、TG1、Shinya’s Studio、Shadow Hillsがお気に入りでした。
比較的お手頃なコンプでも、2mixに通すだけでクオリティアップが期待できます。
プラグインでも近い効果は得られますが、軽くリダクションさせるだけで、楽曲の輪郭がクッキリし、耳馴染みが良くなる効果は実機のアドバンテージがあるように思います。
またマスタリングで使われるような高級機種は総じて、天井が高く、余裕が感じられました。一家に1台マスタリングコンプを持っておきたいですね。
残りわずかですが、是非店頭にて、あなたのスタイルに合ったステレオコンプを探してみませんか?
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