RPM(Recording Proshop Miyaji)、シンセサイザー担当のOです。

今月9月より シンセサイザー「ガチ試奏」展示企画の第一弾「SEQUENTIAL Prophet 5 vs Take 5」が開催されています。
店頭展示機による比較試奏のほか、当店が誇る最高のモニタリング環境「スピーカールーム」での試奏が可能ですので、是非ご来店ください。

 

詳しくは以下のページをご参照ください。
「シンセサイザー「ガチ試奏」展示企画を開催します!」

【シンセサイザー「ガチ試奏」展示企画】始動!!

今回、展示機をご提供いただいた有限会社 福産起業のスタッフのHさんに当店までお越しいただき製品についてお聞きしました。
当記事では、Hさんのレクチャーをもとに、両商品に共通する「SEQUENTIAL」としての魅力、それぞれの違い、どのような方に向いているかといった点についてまとめました。

 

「SEQUENTIAL」としての共通部分

◎至高のアナログサウンド

SEQUENTIAL製品は暖かく、有機的で、存在感があるアナログサウンドが最大の魅力の一つです。

アナログシンセが持つ艷やかで迫力のある低音域や、絶妙な音の揺れから生み出される豊かなユニゾンやコードサウンドは、デジタルシンセやソフトシンセが進化し続ける現代においても確固たる地位を築いています。

ミックスの中でも音が埋もれにくく使いやすいので、ライブや音楽制作的観点から見ても有用な選択だと感じます。

◎同時発音数(ボイス数)

シンセサイザーには「同時発音数(ボイス数)」という概念があり、SEQUENTIAL製品のようなアナログシンセではこの制限がシビアに関わってきます。
アナログシンセの場合は、1ボイスごとにオシレーターやフィルター、VCA等のシンセサイザーの主要な構造を用意する必要があり、パーツの点数が際限なく増えていってしまうため、デジタルシンセ、ソフトシンセといった他のシンセサイザーよりも制限が厳しくなります。
「Prophet 5」と「Take 5」はともに「5ボイスアナログシンセ」となっており、同時に5音までの発音が可能となっています。

四和音のコードにプラスしてオクターブ下のルート音を重ねる等、5音の同時発音数があれば、かなり自由度の高いフレーズ作りが可能です。

◎わかりやすいパネルデザイン

SEQUENTIAL製品はパネルデザインが洗練されており、機能などが非常にわかりやすくまとめられています。
また「1ノブ1機能」も大きな特徴で、1つのつまみに複数の機能が割り振られておらず、迷いにくくなっています。

「ユーザーにとって使いやすい楽器になっている」という点は、非常に大事な要素です。
階層を潜って目当ての機能を呼び出して、ディスプレイを見ながら調整…と操作が複雑になってしまうと、ライブでのミスや制作での時間ロス、アイデアの喪失に繋がります。
わかり易さは初心者にとっても上級者にとっても重要な点なのです。

◎弾きやすい鍵盤

SEQUENTIAL製品には、知る人ぞ知るイタリアの鍵盤ユニット製造会社「Fatar」社製の鍵盤が使用されています。

実際に弾いてみると、演奏のタッチが正確に伝わり、自分の表現力が底上げされる感じがします。
「Prophet 5」はもちろん、「Take 5」にもフルサイズの鍵盤が採用されており、コンパクトながら演奏性を損なっていない点が魅力の一つです。

◎「Vintage」ノブ

「Prophet 5」と「Take 5」の両者には「Vintage」と書かれたノブが用意されています。
ノブを回すとピッチ、フィルター、エンベロープなどのパラメーターがボイスごとに絶妙にランダマイズされ、出音がヴィンテージシンセサイザーらしく変化するという、非常にユニークな機能となっています。

従来の一般的なシンセサイザーにおいて、音をヴィンテージらしくする方法として、ピッチをLFOでわずかに揺らすといったものがありましたが、
こちらの方法ではシンセサイザー全体の音が均一に揺れるため、再現できるヴィンテージらしさには限界がありました。
一方、SEQUENTIAL製品の「Vintage」機能では、各音のピッチ等がそれぞれ少しずつずれていくため、よりリアルなヴィンテージサウンドの再現が可能になっています。

シンセサイザーのヴィンテージサウンドはテンションを上げるためだけのものではなく、音楽的にもしっかりとした利点があります。

クラシックなシンセサイザーは同一の型番であってもパーツや整備に違いがあり、パーツごとの個体差も大きかったため、
個体間は持ちろん、一個体の中でもボイスごとに微妙な音色のズレがありました。
このズレが音に厚みを生み、人の耳を惹きつけるサウンドに繋がっていました。
特に音が重なった際は、ピッチの僅かなずれが生々しく、うねりのある独特な音を生み出しました。

この様な「なぜヴィンテージシンセサイザーは良い音なのか」という点を探求し、再現可能な機能として生み出されたものが、SEQUENTIAL製品の「Vintage」機能です。

古今東西ののシンセサイザーに長年触れられてきた、福産起業スタッフのHさんに「Vintage」機能使用時の音についてお聞きしたところ

・本来であれば歓迎されないはずの不安定な状態をあえて再現することで、アナログシンセサイザーの「楽器」としての価値をより高めた。
・この機能はアナログシンセサイザーの開発を長年行ってきたDave Smithであるからこそ実現ができた。使用する部品を同じものにするだけでない所に彼のエンジニアとしてのこだわりを感じる。
・ヴィンテージのProphet-5の音を聞いてきた身からしても非常に納得のいく音。ほぼ同じと言って良い。
・自身の環境にヴィンテージサウンドを初めて導入する人に非常に良い選択。

とのことでした。

 

「TAKE5」VS「Prophet 5」

これまではSEQUENTIAL製品としての魅力についてまとめましたが、両者の違いについても触れたいと思います。

◎「TAKE5」

特徴

・2基のアナログ VCO と Prophet-5 Rev4 の血統を継ぐフィルターを中心としたパワフルなサウンドエンジン
・アルペジエーターやシーケンサー(ポリフォニック)等、演奏補助機能が充実
・2系統のDSPエフェクターを搭載(任意のFXが1つ、リバーブが1つ)
・モジュレーション・マトリクスによる、モジュラーシンセ並みの音色づくりの自由度
・ディスプレイ搭載で、パラメーターやプリセットを確認しやすい
・手頃な価格と本格的な設計の両立
・44鍵盤でコンパクトな筐体

音色に関しては、Prophet-5直系の重厚なアナログサウンドに加え、オシレーターの波形がモーフィング可能であったり、多彩なデジタルエフェクターを搭載していたり等、より幅広い音色にリーチできる印象です。

機能面では、多機能ですが操作はしやすく、細かい操作無しにモジュレーションマトリクスを簡単に組めたりと、昨今のソフトシンセサイザーのような使いやすさを感じました。

シンセサイザーとしての基本的な部分は押さえつつ、様々な音色にも対応できる「TAKE5」は「一台で演奏も制作も完結できる」という点が魅力ですね。

また、44鍵盤という狭さをネックに感じるキーボーディストの方もいるかと思いますが、シンセサイザーのプリセットはそもそも綺麗に鳴る音程が限られている場合が多いです。
ベース用のプリセットを高音域で弾くと音が細くなりすぎてしまったり、パッドサウンドのプリセットを低音域で弾くとボワボワとしたよくわからない音になってしまう点を想像すると分かりやすいかと思います。

ある程度用途を限定して使用すれば、44鍵盤はむしろちょうどいい大きさに感じられますし、必要に応じて TAKE 5 で初めて搭載された「ロースプリット」機能を用いれば、44鍵を超える範囲での演奏が可能になります。

以上の点から「TAKE5」は以下のようなシチュエーションに特に向いているのではないでしょうか。
・キーボーディストの方が、幅広く使えるサブ鍵盤を導入したい際
・ソフトシンセサイザーに慣れた方が、本物のアナログサウンドやハードシンセサイザーを導入したい際

◎「Prophet 5」

特徴
・Prophetシリーズの正統派で無骨とも言えるパワフルな音質、デザイン
・よりシンプルでスムーズな操作性
・ポリ・モジュレーションによるユニークな音作り
・Prophet-5 Rev1/2フィルターとProphet-5 Rev3フィルターを切り替え可能
・自己学習型オートチューニング搭載
・61鍵の堅牢なスチール筐体

音質面では「TAKE5」に比べ、よりピュアで明るく、迫力がある印象です。

また、「Prophet」は音色のみでなく筐体デザインも大きなアイデンティティの一つです。
デザインの良さにはかっこよさはもちろんですが、「迷いにくい」という使用上のメリットも含まれます。

「Prophet 5」は洗練されたパネルレイアウトにより、出したい音色にすぐに手が届き、全くストレスを感じません。

個人的にはノブやスイッチの質感と重さ、間隔等にも注目していただきたいです。

展示機を搬入した際、ノブの端の金属の装飾部分がキラキラと輝いており、美しさに心を奪われました…。

人が認識しやすく、触りやすいようなデザインとして作られている点も「Prophet 5」の大きな魅力の一つなのです。

 

高性能で選択肢が多い点はオペレーション中の迷いにも繋がり、ある面ではデメリットにもなり得ます。
「オーソドックスな機能を最高品質で」といった需要が、現代でもなお「Prophet」が求められ続ける理由の一つだと思います。

また、「Prophet 5」は現代ポリフォニックシンセの原型とも言える存在で、現代の様々なシンセサイザーに影響を与えています。
「Prophet 5」を使いこなせれば様々なシンセサイザーへの理解も同時に深まりますし、音楽制作で様々な音源や製品を使う上での一つの基準として据え置くことで、ジャッジが素早く、的確になります。

なお、「Take5」のようにエフェクターは搭載していないため、使用の際は空間系やモジュレーション系エフェクターを別途用意する点をおすすめします。

以上の点から「Prophet 5」は以下のようなシチュエーションに特に向いているのではないでしょうか。
・シンセサイザーとは何かということを学びたい際
・楽器として最高のシンセサイザーを手に入れたい際
・思い出のプロフェットサウンドを安定して使い続けたい際

まとめ

いかがでしたでしょうか。
個人的な感想も多分に含まれておりますが、「Prophet 5」と「Take 5」を比較し、感じたことをまとめてみました。

「Take 5」は使いやすさと音の幅広さが両立された、現代的シンセサイザー
「Prophet 5」は楽器としての完成度が高く、非常に豊かな音楽体験を与えてくれるクラシックなシンセサイザー
といった印象でした。

是非当店までお越しいただき、比較試聴をしていただきたいと思います。

製品・販売価格一覧
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