Review
もしもAPIモジュールを3台しか選べないならこれを買う2023 !!「Miyaji Import Division」編
<どんな人にお薦め?>
ミックス全体のクオリティを一段階上げたい方 主張するのが好きな方!
ラックタイプアナログアウトボードに負けたくない方!
<製品3モジュール>
・Retro Instruments / DoubleWideⅡ
・ShadowHills Industries / DualVandergraph
<この組み合わせを選んだ理由!>
「もし3台しか選べないなら」という企画をいただいた際、真っ先に思い浮かんだ3種を今回は紹介させていただきます。
ミックスやPA現場などで活用いただける比較的に汎用性の高いモジュールです。
それぞれのモジュールがさまざまなシーンで活用しやすいモデルですので
・ 今後500モジュールの導入を検討されている
・ プリアンプはすでに持っているがプラスアルファ500モジュールを使用したい
・ モノラルソースにもステレオソースにもアナログプロセッサーを使用したい
といった方々にもオススメで、ぜひ参考になればと思います。
1台目は176やSta-Levelなど、クラシックスタイルのプロセッサーで名高いRetro Instrumentsより、真空管のモノラルコンプレッサー【DoubleWideⅡ】。
機能としてはATTACK、RECOVERY、INPUT、OUTPUTのつまみ4つと、 LINK、SINGLE/DOUBLE、IN/OUT(active/bypass)のスイッチ3つ、そのほかCAL(メーターキャリブレーション)のみと、コンプレッサーとしては比較的分かりやすいシンプルな操作性になっています。
唯一、普段あまり聞くことのないSINGLE/DOUBLEスイッチですが、こちらはATTACK、RECOVERYのタイム調整と、コンプレッション特性を切り替えるスイッチとなっていて、この機能によってより幅広い調整が可能です。
SINGLEのスムーズなコンプレッションは歌やピアノに透明感のあるリッチな質感を与え、ATTACK、RECOVERYの早いDOUBLEではドラムのようなトランジェントの大きい素材にも対応でき、ピークを潰すことは勿論、過度にコンプレッションすればプラグインでは得られない生の真空管のドライブ感も付加してくれます。
個人的にはドラムの皮物や、ルームをドライブさせる使い方もオススメです。(ドライブさせる時はメーターを見ずに聴覚だけの大胆な調整を一度お試しください!)
2台目はTK Audioの、Baxandall スタイルのステレオEQ【TK-lizer 500】。
こちらもEQ然とするシンプルなコントロールですが、High,Mid,Low,HighPassFilterの4バンド、各ツマミはスタックした2段式ポット(周波数はロータリースイッチ)にそれぞれ周波数とレベルが割り当てられ、スイッチによってHigh,Lowバンドはカーブを変えることができたりと、痒い所に手が届く仕様になっています。
また最大の特徴としてM/Sモードが搭載されており、Mid成分Side成分にわけイコライジングすることが可能です。
これによりステレオ感を強くしたり、逆にモノラル感を強調したりとワイズ感の調整をすることができます。
3台目はMasteringCompressorでも有名なShadowHills Industries のVCAタイプステレオバスコンプレッサー【Dual Vandergraph】。
これに関してはいまだ初めて触った時の感動を覚えています。
まず注目いただきたいのが、100点満点のルックスです笑 ShadowHills らしく左右対象で黒一色に統一された作り…
見た目のゴツさからかどこか難しそうな感じはありますが機能はいたってシンプルです!
コントロールとしてはCompressionのつまみとOutputのみ!
左右にあるトグルスイッチにてRatioとHPFをコントロール可能です。
回路もClass-Aディスクリートオーディオ回路でMastering Compressorと同様のカスタムアイアントランスを採用しています。
そして肝心なサウンドに関してですが、見た目通りの音がします。
タイトなローエンド、レンジ感を失わないコンプレッションCompressionを深くかけても決して音楽的に破綻しません。
とにかくユーザーの望むカッコイイ音に仕上がります。
以上3台をご紹介させていただきました。
この3台を使用することでアナログアウトボードの魅力を存分に感じるとともに、ミックスのさまざまな場所で使用が可能です。
Double WideⅡはモノラルコンプレッサーですので、ベースやギターといったモノラルソースに使用することで真空管ならではの存在感をより高めた立体的なサウンドを作ることができます。
合わせてTk-Lizer500を片chのみ使用することでサウンドのディテールをコントロールすることも可能です。
ステレオソースにはDualVandergraphとTk-Lizerの組み合わせで使用することで、ステレオワイズ感もコントロールしながらDualVandergraphが存在感のある図太いサウンドを提供してくれます。
この3機種は全てラックタイプのモデルも存在するメーカーですが、500シリーズモジュールの中にはラックタイプのアウトボードと比べると、サウンドも若干薄くなるモデルも多くあります。
ですが紹介させていただいた製品に関してはそれらを一切感じさせない、一級品のアウトボードの一部を抜き出したような感覚です。
決してコンパクトで手軽に持ち運べるという利点だけではなく、そこに使う”意味”を感じさせてくれるアウトボードであると思います。
3機種ともにRPMにてお試しいただけますので、ぜひ一度店頭でお試しください!
今回は機材好きには最高に面白い企画にお呼びいただきありがとうございました。
次回があればまだまだオススメしたい製品もありますので、またのお声がけお待ちしております!