「RPMスタッフが、話題の製品を実際に使ってみた」
お馴染みの本シリーズ、今回は「アコースティックピアノ音源聴き比べ」です!

比較した製品

  • SYNTHOGY / Ivory II Grand Pianos
  • TOONTRACK / EZ KEYS – GRAND PIANO
  • xln audio / addictive keys – STUDIO GRAND
  • NATIVE INSTRUMENTS / THE MAVERICK
  • EASTWEST / EWQL PIANOS
  • VIENNA INSTRUMENTS / VIENNA BOSENDORFER IMPERIAL
  • Modart / Pianoteq 5 Pro

こちらの7製品、比較試聴を行ってみました!
それぞれの特徴と共に、音源にてご紹介して参ります。
今回は、複数メーカーのサンプルがある製品は Steinway&Songs 社のピアノに統一し、比較します。

※2015/8/3 新製品特集を掲載しました!

  • VI Labs / True Keys:German Grand
  • VI Labs / True Keys:American Grand
  • VI Labs / True Keys:Italian Grand
  • VI Labs / Ravenscroft 275

『話題の製品を実際に使ってみた!VI Labs/True Keys, Ravenscroft275』

※2017/9/10 新製品特集を掲載しました!
SYNTHOGY / Ivory II Studio Grands
『話題の製品を実際に使ってみたらこうだった!ピアノ専攻が語るSynthogy/Ivory II Studio Grands』

なお、バナーを見て、8製品じゃないの?と思われた方、鋭いです!記事を最後までご覧ください!

7製品、実際に比較してみました!

環境は下記となります。

DAW:Apple / Logic Pro X
鍵盤:YAMAHA / YUS3(MIDI I/O付きの生アップライトピアノ)
楽曲:F.ショパン作曲 / 25の練習曲 Op10-9「革命」

SYNTHOGY / Ivory II Grand Pianos

プリセット:German Concert D Grand II (Steinway)

実に77GB以上ものサンプルを誇る、言わずと知れたピアノ音源の真骨頂!生ピアノのニュアンスが見事に再現されているため、ピアノを聴かせたい楽曲にぜひ使いたい音源です。容量が大きくHDDを圧迫することがやや難点ですが、特にクラシック系の方にはまず一番にオススメしたい製品です。

Ivoryは、良くも悪くも”上手く聞こえる”ような気がします。ペダルを離した瞬間の音の余韻の残り方の美しさ・ハーフペダルの再現度合いは、他と比べてピカイチ。ピアノ音源特有の「ベロシティの値が大きい音(=フォルテシモ)のベタ付き」も感じられないため、普通に弾いてもベロシティMAXを叩き出しがちなMIDI鍵盤でも、美しい音色で統一性を出すことができます。

TOONTRACK / EZ KEYS – GRAND PIANO

プリセット:Standard (Steinway)

1万円台という安価でこのクオリティ。ビギナーに優しい豊富なMIDIフレーズ付きですので、ピアノが弾けない!フレーズが思いつかない!という方には絶好の製品となっております。アコピらしいニュアンスを聴かせる曲よりも、バンド・オケなどと混ぜてお使い頂くほうが、この製品の本領を発揮するでしょう。

EZ KEYSは、Ivoryとは逆にペダルの切れ方がかなり数値に正確なように感じます。和音の移ろいやグラデーションを楽しむクラシック系の音楽には、バツっと切れてしまうこの音源は不向きかも…?逆に、バッキングであったりリズムを効かせたいパッセージには、サウンド的にも相性ピッタリかと思います。

xln audio / addictive keys – STUDIO GRAND

プリセット:Studio Grand – Audience (Steinway)

EZ KEYSに引き続き、こちらもまた破格の製品!そして、この値段とは思えないクリアなサウンドが魅力です。やや重心が軽めの音が特徴のため、ぱらぱらしたパッセージを聴かせたいロック系が個人的にはオススメです!

addictiveも同じく、クラシックやバラードなど「聴かせる」系というよりは、バンドやオケに入れ込んで利用するほうがこの製品のポテンシャルを発揮できるでしょう。生ピアノらしい煌びやかさとはまた異なる煌びやかさを持っており、しかも音にしっかりと芯もあるため、音が周りからしっかりと浮き立って鳴ってくれるかと思います。

NATIVE INSTRUMENTS / THE MAVERICK

プリセット:THE MAVERICK

NIからはTHE MAVERICKをチョイス!1905年製のヴィンテージ・グランドピアノのサンプルである本製品。
THE MAVERICKは、一粒一粒が柔らかく刺々しさの無い音質です。ピアノ特有のHighが突き抜けるような感覚はありませんが、それが逆にイイ!落ち着いた雰囲気のジャズやポップスとの相性が非常に良いですね。今回はクラシックで比較をしていますが、メーカーの製品紹介ページにデモがありますのでぜひお聴きになってみてください。

EASTWEST / EWQL PIANOS

プリセット:Steinway D Master (Steinway)

世界三大ピアノ+ヤマハ、4種類全てのサンプルを網羅!合計なんと270GBにも及ぶ、超・大容量のサウンドライブラリです。音源を立ち上げたときにちょっと時間のかかる読み込みも、じっくり待つ甲斐はある音源です。

こちらはIvoryと同じくクラシック向きかと思いますが、どんな場面でも映える深みのあるのびやかな音色となっています。今回はSteinwayのみ掲載していますが、他のそれぞれの製品も本家の特徴がしっかりと再現されています。細かいサスティンの値が反映されないことがちょっとした難点ですが、MIDI鍵盤に接続する一般的なサスティンペダルをお使いの方であれば、特に問題はないでしょう。

VIENNA INSTRUMENTS / VIENNA BOSENDORFER IMPERIAL

プリセット:Imperial Player (Bösendorfer)

通常のピアノの鍵盤数は88鍵です。しかし、ベーゼンドルファー社フルコン最高位機種「インペリアル」は、さらに下に増えて97鍵。そんなピアノのサンプルが本製品、その名の通り”Imperial”!最低音のさらに下までカバーする音域と、ベーゼンらしいきらびやかでクリアなサウンドが特徴です。ただ、88鍵キーボードはほとんどの場合オクターブ上下ボタンがついていないので、最低音を鳴らすためには手動での操作が必要です。(笑)

この製品は、低音から高音まで響き(リバーブ)の部分が豊かなのが良いですね。鳴っている音そのものはすっきりとクリアで、そこに空間の広い響きが加わっているので、全体にすっきりとまとまっているのに仕上がりはなんともゴージャス!音も響きもいずれも豊かな音源ではごちゃごちゃとしてしまいがちな速い曲も、美しく聴かせることができるでしょう。

Modart / Pianoteq 5 Pro

プリセット:D4 Classical Recording BA (Steinway)

音源プラグイン全体を通してもまだまだ数の少ないサンプルモデリングの製品です。ペダルトーンとの絡みも含めピアノならではの非常に繊細な部分を再現しており、また細やかなパラメータ制御も可能です。そんな本製品、総容量なんとたったの20MB!これだけのハイクオリティで、1GBどころか100MBにも満たないなんて…!!

サウンド的にも何にでも混ざるかとは思いますが、とにかくHDDの容量を節約したいという方にはまずおすすめしたい製品です。

ちょっとマニアックな話になってしまいますが…他の音の弦との絡み合いやボディ内部での反響などの細やかな再現によって、ペダル+アルペジオなどで作った和音の響きが非常に濃く、また豊かです。今回の革命のエチュードもそうなのですが、非和声音の含まれる和音をペダルを踏みながら1ストロークで作った時の音・そして倍音の濁りも、驚くほど見事に表現されています。

最後に

さて、一挙7製品ご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

◆クラシック向き
・Ivory II:定番。生の再現性が特に高い。
・EWQL PIANOS:主要4メーカーを網羅。
・VIENNA BÖSENDORFER IMPERIAL:最低音以下の音域をカバー。

◆ポピュラー向き
・EZ KEYS:MIDIフレーズ付き。音は固め。
・addictive keys:買い方次第で格安。音はhighに抜ける。
・THE MAVERICK:KOMPLETEに付属。音は柔らかめ。
・Pianoteq 5 Pro:容量が少ない。音は比較的柔らかめ。

以上、今回の簡単なまとめでした。
ピアノのサウンドは選ぶのも使うのも本当に難しいですが、自分のお気に入りの製品をひとつ見つけて購入しておくと、他の人とぐっと差をつけられます。また、全体のサウンドの質も格段に上がること間違いナシ!

おまけ:Spectrasonics / Omnisphere 2

プリセット:Burning Piano
曲:C.ドビュッシー作曲 / ベルガマスク組曲 第3曲「月の光」

その名の通り、焼きピアノ。基本的に絶対に生では表現することの叶わない、ソフトウェア音源ならではのサウンドと言えるでしょう。
しかしこのサウンド、聴いてみてビックリ。なんとも美しいんです…!ピアノの音は、響きが縦に立つような透明感。そこにburningサウンドが加わると実に退廃的な空気感が醸し出され、よりいっそうピアノの透明感が引き立たされます。ちょっと不思議な世界観を表現したい時に、飛び道具としていかがでしょうか?

スタッフレビュー、Omnisphere2特集はこちら!
https://rpm.miyaji.co.jp/review/normal/1482/

以上8製品、ご購入は以下ショッピングサイトからどうぞ!
※レビュー当時のVer.と違う音源、サウンドエンジン、グレードが違う製品がございます。

製品・販売価格一覧

Synthogy/Ivory II Grand Pianos

TOONTRACK/EZ KEYS – GRAND PIANO

xln audio/AK Trio Bundle

NATIVE INSTRUMENTS/KOMPLETE 13

EASTWEST/EWQL PIANOS

VIENNA INSTRUMENTS/SYNCHRON BOESENDORFER IMPERIAL

Modart/Pianoteq

Spectrasonics/Omnisphere 2


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