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全く新しいヘッドバンドを搭載し進化した「HEDD / HEDDPHONE TWO」 ショートレビュー
全く新しいヘッドバンドを搭載し進化したフルレンジAMTドライバーヘッドホン HEDD / HEDDPHONE TWO ショートレビュー
新興モニタースピーカーブランドの雄、HEDDが世界初のフルレンジAMTドライバーを使用した同社最初のヘッドホン「HEDDPHONE」を発売したのは今から4年前。圧倒的な解像度とトランジェントスピード、その独特なフォルム、重量700gオーバーという尖りに尖ったスペックはモニターヘッドホン業界の話題を席巻しました。
それから3年たった昨年秋、大幅なアップデートが施された2代目、HEDDPhone Twoがリリース。今回は店頭展示機をお借りしたため、初代との比較を基調としたインスタントなレビューを行って参ります。
若干のキャラクター変化はあれど、初代の魅力を踏まえつつ順当に進化したと言えるサウンドに
持ち前の圧倒的解像度、トランジェントの速さ、フラットな特性は変わらないまま更に洗練された印象になりました。サウンド面での大きな変化と言えばステージングでしょう。より正確で適度な広さを持った空間を提供するようになり、よりサウンドの全容を立体的に把握できるようになりました。
おそらくその変化に伴い、以前に比べてトップエンドとローエンドが印象として若干ではありますが柔らかく(情報量が減ったわけでは決してないということを強調させていただきます)感じられるようになり、長時間の視聴もしやすいサウンドになったと思います。
初代HEDDPhone、私もサウンドに一目惚れして購入したのですが、この視聴可能時間というものに悩まされました。詳しくは後述致します。
正直に申しますと音楽を視聴するのが一番楽しいヘッドホンではありません。その傾向は初代HEDDPhoneより顕著になったと思います。
楽しくモニターしながら作るというのも作品に大きく影響を与える要素なので、モニターヘッドホン選定の際考慮すべき点だと思います。
しかし、ただただサウンドを正確に表現するという点においてこのヘッドホンに匹敵するモデルを探すのはなかなか難しいでしょう。高音から低音にかけて、各サウンドがエンベロープのなかでどのような音色変化を起こしているか、どこで鳴っているかそれを正確に、誇張したり、装飾を施すことなく描ききります。
それはきっと、音の正確さに何よりも重きを置くコンポーザーやエンジニアの方にとっては非常に魅力的なサウンドになるでしょう。
軽量化と快適な装着感を実現するHEDDオリジナルのカーボン製ヘッドバンド
今回、個人的にサウンド以上に大きな進化として、カーボン製のHEDDオリジナルの新しいヘッドバンドがあります。HEDDPhoneのサウンドは初代の頃から特にモニター用ヘッドホンとしては素晴らしくはあったのですが、700gを超える重量によって長時間の着用で頭や頭皮が痛くなるという欠点を抱えていました。筆者の制作中においてもサウンドの詳細を詰めたいときのみという悲しい使用法に。。笑
しかしHEDDPhone Twoでは写真のようにヘッドバンドを刷新。550gという大幅な軽量化と、長時間着用にも耐えられる設計へとアップデートしてきました。
こうやって2つを並べるだけでもTwoは非常に洗練された印象がありますね。試しにスタッフが通常業務の間1時間ほど着用していたのですが、しっかりとした圧迫感こそあれどどこかに痛みが発生することなどはなく、また首を上げ下げしても本体がずり落ちることもなく、非常に優秀なヘッドバンドであると感じました。
豊富なアクセサリーによる柔軟性
また今回は交換用イヤーパッドやセミハードのキャリーケースがデフォルトで付属。ケーブル類も通常の6.33mm端子のケーブルと4.4mm端子のバランスケーブルに加え、6.33mmを3.5.mmに、4.4mmを4ピンキャノンへ変換するアダプターも付属するなど、あらゆる機器に接続可能な豪華アクセサリーが付属します。
十分駆動可能なポータブルアンプと合わせればどこでも最高のモニター環境で制作ができます(オープンバックなため喫茶店などは難しいですが)
注意点
本製品は駆動に非常にパワーを必要とします。お手持ちのインターフェース内蔵のヘッドホンアンプでは、十分な音量が出ない可能性もあります。
その際はSPL/Phonitorシリーズなどの据え置きヘッドホンアンプや、Umbrella Company のバッファアンプ「HP Adapter」、持ち運びがしたい方はポータブルアンプのMOJO 2などを使用するのもおすすめです。
まとめ
ここまでのアップデートをしてくるとは思いませんでした。正直ヘッドホンとしては一般的には選択肢に入らないようなお値段がしますが、部屋の調音や周辺住宅への配慮など、諸々の条件を考慮するモニタースピーカーと同価格帯で比べれば勝負になるくらいの性能を持っていると個人的に思います。
この価格の価値を感じるかはあなた次第!正確にモニタリングをすることに何よりも重きをおいている制作者、エンジニアの方に是非お手に取っていただきたいです。
もしサウンドに惚れてどうしても欲しくなってしまってもスタッフは責任を持ちません笑