Review
【輸入ブランド紹介】Canpur(キャンパー)─オランダ発の革新的IEMブランド
2025年7月より、日本での正規ディーラーとして輸入販売、試聴展開をしているIEMブランド「Canpur」について、ご紹介します。
ハイエンドオーディオ界隈では、認知をされてきているブランドではありますが、当店をご利用されるお客様には馴染みのないブランドであるかもしれません。
この記事ではCanpurブランド自体を知ってもらうきっかけとなるような内容をお届けいたします。
Canpurとは?
Canpur(キャンパー)は、オランダ出身の元プロドラマー、 Hans JAPM Witjes によって2019年に設立されたインイヤーモニターブランドです。彼は30年近いライブ演奏とサウンドチューニングの経験を持ち、音楽業界を離れた後も、ミュージシャンや音楽愛好家のために「高品質で手頃な価格のIEM」を届けたいという情熱を持ち続けてきました。(下の写真はHans氏がIEMをチェックしている様子です。)
ブランド名「Canpur」は、“CAN PURE”に由来し、「restoration, purity, and auditory pleasure (原音再生・純粋さ・聴覚の喜び)」をコンセプトに掲げています。
Canpurの製品は、Hans氏自身に加えて、プロの音楽プロデューサーやミックスエンジニアたち、そして耳の肥えたオーディオ愛好家によって厳格に監修されており、プロの現場における厳格な要求と、音楽愛好家の繊細な好みの両方をバランス良く満たしています。さらに、数千人分の耳のデータをもとに設計された人間工学的なデザインにより、快適な装着感も追求されています。
Canpurは「誰もが手にできる本物の音」を目指し、今もなお進化を続けています。
Canpurの特徴的なポイント
■骨伝導技術の先駆的統合
Canpurは、Sonion社のBAドライバーをベースとした骨伝導ドライバーを世界で初めてハイブリッドIEMに採用したブランドです。CP622Bモデルの登場により、より豊かで没入感のあるサウンドスケープを実現する革新的な技術として注目を集めました。この技術は、IEMの音響体験に新たな可能性をもたらす“ゲームチェンジャー”として高く評価されています。
■Sonionとの技術提携
Canpurは、音響技術の最前線を走るSonion社と密接な関係を築いており、最新の音響研究成果を製品設計に直接反映させています。その結果、他ブランドではなかなか実現できない、極めて高い音質と再現性を誇るIEMを提供しています。
■戦略的パートナーシップ
前述のSonion社や、ケーブルブランドであるEletech社とのコラボを行い、強みのあるブランドと組むことで、製品ポテンシャルとブランド認知度をあげています。
■多層的な市場戦略
「誰もが手頃な価格で高品質のモニターを提供すること」というブランド思想に対し、彼らのフラッグシップであるCPシリーズの製品は、CP622Bが約60万円、CP74Eが約50万円という価格帯に設定されています。この価格は一見矛盾したように見えますが、Canpurの多層的な市場戦略を表しています。
Joyfull Seriesのように2〜3万円台で購入できるIEMラインは、「誰もが手頃な価格で」という理念に合致しています。
一方、ハイエンド製品に関しては、IEMが5,000ドルや10,000ドルを超えることも珍しくなく、Canpurのフラッグシップモデルは、絶対的な価格は高価でありますが、その性能レベルに対して優れた価値を提供していると位置付けられています。
Canpurは、その起源の物語を活用して、製品の各価格帯において価値とアクセシビリティを強調し、意欲的な愛好家と、そのセグメントで妥当な価格で最高峰のパフォーマンスを求める熟練したオーディオ愛好家の両方に効果的にアピールしています。
Canpurの製品ラインナップ
Canpurは、エントリーレベルからフラッグシップモデルまで、幅広い好みと予算に対応する多様なインイヤーモニター(IEM)を提供しています。
Performanceシリーズ、Joyfullシリーズという2つの製品シリーズに分かれ、Performanceシリーズでは、Canpurを表す『CP』にドライバー構成を示す数字や文字が続く命名規則が採用されています。このモデル名の法則性を理解してからはドライバー構成が分かりやすいモデル名もいいなと思っています。
◾️Joyfull シリーズ
Joyfullシリーズは、「すべてのミュージシャンが高品質なサウンドを手頃な価格で体験できる」というCanpurの創業理念を最も体現したラインです。シンプルながらも洗練された設計により、エントリーレベルからミッドレンジユーザーまで幅広いニーズに対応。音楽への純粋な喜び(Joy)と充実感(Full)を届けるため、コストパフォーマンスに優れながらも妥協のない音質を追求しています。
【シリーズモデル】
・Joyfull 1:ダイナミックドライバー1基
・Joyfull 1&1:ダイナミックドライバー1基+BAドライバー1基のハイブリッド機
・Joyfull 1&2:ダイナミックドライバー1基+BAドライバー2基のハイブリッド機
2〜3万の価格帯のお求めやすいIEMではありますが、人間工学に基づいたデザインの高遮音性、美しいフェイスプレートデザインなど妥協のないクオリティを実現しています。カスタムIEM 2pinを採用しているため、リケーブルも対応できるモデルとなっております。
試聴会でのお客様の反応は千差万別で、どのモデルが良いかは好みや再生機器の組み合わせによっても変わります。また付属ケーブルで化けるというお話もいただきました。
Canpur IEMを知っていただく入門モデルとしても最適なシリーズで、ポテンシャルの高いモデルです。
◾️Performanceシリーズ
Performanceシリーズは、Canpurの技術力と音響設計哲学が集約されたフラッグシップラインです。プロフェッショナルなミュージシャンやサウンドエンジニア、そして最高レベルの音質を求めるオーディオファイルのために開発されました。全音域にわたって卓越した解像度と音場表現を実現し、スタジオグレードのモニタリング品質を提供します。
【シリーズモデル】
・CP622B
・CP74E
・CP54E
・CP32E
・CPBA7
・CPBA1
Canpurの名を一躍世界に知らしめた名モデル「CP622B」を筆頭とするPerformanceシリーズ。
このシリーズでは搭載ドライバーが基本的にSonionのドライバーで構成されており、Joyfullシリーズとは明確に分けられています。
また、CP622BとCP74Eでは付属のイヤホンケーブルがEletechのケーブルであるといったところも、製品バリューを押し上げる形となっています。
Canpur IEMの特色としては、高域部分の音のまとめ方、響かせ方が非常に上手に感じます。
試聴会でもCP622Bの評価が非常に高く、Canpurの製品はESTの使い方が上手という声を多くいただいています。
また、音の立体感や音場の広さなど、PerformanceシリーズのどのIEMにもCanpurの音作りの一貫性を感じる音傾向があります。
トップモデルであるCP622Bに注目が集まりがちですが、ボーカル帯域にフォーカスしたいお客様にはCP74Eをおすすめしたり
CP622B、CP74Eよりもニュートラルでスッキリした音を求める方にはCP54Eをおすすめするなど、ハイエンドモデルに関しては値段差を取り払いそれぞれの個性を感じていただきたいと思っています。
この記事の段階ではまだ発売となっておりませんが、Performanceシリーズには新たなモデル「CP752B」が発表されております。
Canpurの技術を詰めたPerformanceシリーズ。CP622Bは752B発売以後も継続販売されますので、ぜひ代表モデルからCanpurの音を体感してください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. Canpur(キャンパー)とはどんなブランドですか?
A.
Canpurはオランダ発のハイエンドIEM(インイヤーモニター)ブランドです。元プロドラマーのHans JAPM Witjes氏が2019年に設立し、「原音再生・純粋さ・聴覚の喜び」をコンセプトに、プロミュージシャンや音楽愛好家のための高品質なイヤホンを開発しています。
Q2. JoyfullシリーズとPerformanceシリーズの違いは?
A.
Joyfullシリーズは、手頃な価格で高音質を楽しみたい方やIEM初心者におすすめのエントリーモデルです。一方、Performanceシリーズはプロフェッショナルやオーディオファイル向けのフラッグシップラインで、より高度な音響技術やパーツを採用しています。
Q3. CanpurのIEMはどんな人におすすめですか?
A.
Joyfullシリーズは初めてIEMを使う方やコストパフォーマンス重視の方、Performanceシリーズは音質や解像度にこだわるプロ志向の方や、ライブ・レコーディング現場で使いたい方におすすめです。
Q4. CP622BとCP74Eの違いは何ですか?
A.
CP622Bは立体的な音場と高解像度が特徴で、幅広いジャンルに対応します。CP74Eはボーカル帯域にフォーカスしたチューニングで、歌声や中域を重視したい方に特におすすめです。
Q5. CanpurのIEMはリケーブルに対応していますか?
A.
はい、CanpurのIEMは2pin端子を採用しており、リケーブルに対応しています。お好みのケーブルに交換することで、さらなる音質向上やカスタマイズが可能です。
Q6. 試聴や購入はどこでできますか?
A.
Recording Proshop Miyaji店頭にて、Canpur各モデルの試聴が可能です。試聴会やイベント情報は当店ウェブサイトやSNSでも随時ご案内していますので、ぜひご利用ください。なお、静かな環境でじっくりお聞きしたい方向けに事前予約での防音ルームを活用した試聴体験が可能です。
下記の来店予約フォームにてご希望日程を承っております。
来店予約フォーム:https://rpm.miyaji.co.jp/form/#visit
Q7. 2pinは埋め込み型のモデルを作る予定ないのですか?
A.
このご質問は、店頭試聴にお越しいただいたお客様から実際にいただいたものです。メーカーに確認したところ、以下のような回答がありました。
埋め込み型にする場合、内部にソケットを収めるスペースが必要となるため、イヤホン筐体自体を大きく設計する必要があります。結果として、装着感やデザインに影響が出る可能性があるため、現時点では埋め込み型2pinモデルの製作予定はないとのことです。
また、既存モデルに関しては設計の見直しが必要となるため、現行ラインナップでの対応も難しい状況です。
ただし、今後日本での認知度が高まり、日本市場向けの特別モデルの企画が進むようであれば、専用設計による埋め込み型モデルが登場する可能性もあるとのことでした。
まとめ
Canpurは、30年のプロフェッショナル経験を持つドラマーの情熱から生まれた、真に音楽を愛する人々のためのブランドです。
Performanceシリーズでは最先端のドライバー技術を含めたスタジオグレードの音質を、Joyfullシリーズでは手の届きやすい価格で本格的な音楽体験を提供し、それぞれ異なるニーズに応える製品展開を実現しています。Canpurは今後も革新的な技術と変わらぬ情熱で、世界中の音楽愛好家に感動を届け続けるでしょう。
Recording Proshop Miyajiでは、そのCanpurの魅力を届けるべく、店舗でのデモ環境を整え、試聴会などでの場で広く認知度を上げる活動を行っていきます。当店では防音環境を整えたスピーカー試聴ルームがありますが、事前予約をいただくことで試聴ルームでの静かな環境で落ち着いて試聴を行うことが可能です。
今後の展開にもぜひご注目ください。
Canpur製品ブランドページ:https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/140394/237086/list.html
来店予約フォーム:https://rpm.miyaji.co.jp/form/#visit